【元証券マンが語る】やりがいを見失う…損切り提案や投資信託の乗り換え提案時の心情

証券マン時代の話

証券業界に身を置いていると、ふとした瞬間に

「この仕事は誰の役に立っているのだろうか」

と感じてしまう瞬間があります。

当記事では元証券マンの筆者が、

証券マン時代に経験した「証券マンとしてやりがいを見失った瞬間」を元に

筆者と同じように感じてしまう証券マン&証券ウーマンに

モチベーションの保ち方をご紹介いたします。

やりがいを見失う瞬間3選

証券マン&証券ウーマンが、やりがいを見失う瞬間3選をご紹介いたします。

ご紹介する事例は、証券業界のあるあるですが、

筆者の実際の体験談も踏まえながら、その当時の心情について解説いたします。

株式の損切り提案

1つ目にご紹介するのは、株式の損切り提案です。

損切り提案にも、タイミングや状況によって様々な意味を持ちます。

語弊を恐れずに言うと、「ポジティブな損切り」というのも世の中にはあります。

ただ、やりがいを見失う損切りはどういうものかと言うと、

株式手数料稼ぎのための損切り提案です。

前段でご紹介したポジティブな損切り提案とは違い、

証券会社の収益をあげるための提案と言うものが存在します。

筆者が体験した具体的な例としては、

課の株式手数料を、月間目標まで残り数万円というところまで積み上げたけれども、

もう利幅が取れている銘柄を顧客が持っていない場合、

上司はそれぞれ担当に、損切りをして手数料を上げる指示を出します。

上記のような場合、

「誰のために損切り提案をしているか」というと、

証券会社のための損切り提案です。

「自分は誰のために仕事してるのか」という疑念が沸き上がる一方で、

その損切り提案を約定させると、課でヒーロー的な扱いをされます。

他の課のメンバーからのヒーロー扱いに自分の感覚が麻痺してしまいますが、

ふとした瞬間に、「顧客は自分を恨むのではないか…」と引け目を感じるようになり、

仕事に対する、やりがいを見失う代表的な要因の一つです。

投資信託の乗り換え提案

2つ目にご紹介するのは、投資信託の乗り換え提案です。

内容は、前段の株式手数料稼ぎのための損切り提案と似たような話になります。

目標数字として、投資信託の販売手数料も毎月ノルマが課されます。

新しくお金を入れてもらって買ってもらうのがベスト(手数料もあげられ、資産導入も出来るため)ではありますが、なかなか難しいです。

顧客側も、もうお金入れるつもりはないけれども、保有している商品を買い換えるということは良いと言っていただける方は居ますので、

課として、投資信託の販売手数料を達成するために、乗り換えを提案するという流れになり、

あとは前段でご紹介した、「株式の損切り提案」と同じ道をたどります。

筆者が所属していた証券会社では、

「買付から2年を経過していること」が投資信託の売買(乗り換え)提案を行う条件でした。

だいたい3カ月前くらいから、買付して2年を経過する投資信託を調べておいて、

乗り換え案件としてウォッチしつつ、「まだかまだか」と待っている自分に、

筆者は違和感を感じていました。

本来であれば、利益最大化のタイミングで顧客に売り提案をすべきです。

決して、2年経ったから売り提案をするという動機にしてはいけないです。

月末の国内投資信託の販売

最後の3つ目は、月末の国内投資信託販売です。

筆者の証券マン時代が、2017年~2020年辺りです。

その頃は米株の投資信託が主力商品で、

パフォーマンス面でも、国内物の投資信託よりも、米株型の投資信託の方が良かったです。

ただ、外国物の投資信託は注意点があって、

受注の関係で月末の2営業日前以降の、外国物の投資信託販売は、来月の数字として計上されてしまいます。

つまり、月末の2営業日前までに受注をしないと、今月の数字として計上できないのです。

対し、国内物の投資信託は月末の1営業日前まで販売可能です。

国内物の投資信託は、外国物の投資信託に比べて、販売できる期間が1営業日多いのが特徴です。

そのため証券マン&証券ウーマンは、月末は国内物の投資信託で、最後の積み上げを行います。

数字の追い込みをしていく中で、成約することも少なくはないですが、

本当は外国物の投資信託を持っていただきたい顧客にも、

月末であるがゆえに、国内物の投資信託しか販売できない状況に、

筆者は何とも言えないやるせなさを感じながら、月末の追い込みをしていました。

本当は米株の投資信託を持ってほしいのに…

モチベーションの保ち方

「顧客の利益の最大化を目指した動き」と「ビジネス上収益を稼ぐための動き」の間で

揺れ動くモチベーションを安定させる方法を2つ、ご紹介いたします。

「顧客の利益の最大化を目指した動き」と「ビジネス上収益を稼ぐための動き」のギャップを無くすことで、

精神衛生上も健全に営業活動に注力できますので、参考にしていただければと思います。

自己暗示

1つ目の方法は、自己暗示です。

具体的には、

「悪い商品を提案しているわけではない」

「自分は投資は必要だと思っていて、この商品がお客様のためになる」

という考えを、自分の中の奥の奥まで落とし込む方法です。

こうすることで仮面を得たような気になり、勤務時間内はその仮面を被っていると自分自身を錯覚させます。

錯覚させることで、「顧客の利益の最大化」について疑念を抱く隙を与えません。

自分の営業活動が、顧客利益の最大化をアシストし、

会社としても収益を上げることが出来て、Win-Winな関係を築けるという思考になります。

つまり、

「顧客の利益の最大化を目指した動き」と「ビジネス上収益を稼ぐための動き」の

ギャップが無くなり、証券業界に居続けることが出来ます。

他人から文句を言われないくらい結果を出す

2つ目は、圧倒的な成績をたたき出すことです。

自分が売りたい商品が、顧客のためのベストな選択肢ではないのではないか…

という疑念が自分の営業活動の足かせになってしまっています。

根本原因の解決策は、

「自分が納得した商品しか売らない」です。

結局、自分が納得していない商品を売らざる得ない状況というのは、

自分、もしくは、課の目標が未達であるため、

目標達成のために売れるものを販売しないいけない状況に追い込まれてしまったことが原因です。

つまり、目標が達成されているのであれば、無理に納得していない商品を販売する必要がなくなります。

「自分が納得した商品だけを販売したい」というわがままを会社で通すためには、

圧倒的な成績を出し、最低でも会社からのノルマを越えなくてはいけません。

なかなか難しいことではありますが、この方法が根本的な問題解決策となります。

結論:モチベーションの保ち方は2つ

①自己暗示

自分が販売しているのは全国民が保有して欲しいくらい、素晴らしいものだ!

と本気で自分に落とし込み、営業を続けていく方法

②圧倒的な成績を出す

周りから文句を言われないくらい、圧倒的な成績を出し、

「自分が納得した上で、販売したいものだけを販売する」という動きが出来るようにする方法

(どちらかというと、やりがいを見失わないようにするための方法ですが)

上記の2通りがモチベーションを保つ方法として紹介させていただきました。

自分のやっていることに、やりがいを感じられなくなった時にぜひ参考にしていただけたらと思います。

当記事で紹介した、やりがいを感じられなくなる瞬間は証券業界あるあるです。

解決策の実行が難しく、日々メンタルが苦しいということであれば、

業種を変えた転職も、別角度の解決策となります。

証券マン&証券ウーマンはITエンジニアに向いているという記事も書いてますので、

そちらも見ていただけると幸いです。

それでは。

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