自分たちの営業スキルは金融業界では通用すると思う反面、
他の業界でも活用することができるのか?
という漠然とした不安にかられることはないでしょうか。
…私はありました。
斜に構えた捉え方でしたが、
「営業とは右から左に商品を流すだけで、自身で何かゼロからイチにしたわけではない」
という様に考えていました。
つまり、自分にはスキルが身についていないものと考えていました。
だから私は自分で何かを創る技術を身に付けるため、転職先にITエンジニアを選択しました。
ところが、
驚いたことに、私がIT業界に入ってから
「営業をしっかりしていて良かった」と感じることが多くあります。
この記事では、
営業で身に付けたスキルがIT業界で大いに活用できることを解説いたします。
今営業職に就かれている方は自信を持っていただきたいですし、
転職を考えている方も、ここはアピールポイントになるんだなと
自己分析の一助になれれば幸いです。
金融営業職でどんなスキルが習得できるのか
金融商品の営業で扱う商材は、
株や投資信託などの投資商品が主になります。
そういったものをセールスしていくうちに自然と身に付くスキルがあります。
ごく当たり前のスキルと思ってしまうものですが、
非常に汎用性が高く、どの業界でも活用することのできるスキルです。
そのスキルとは、以下の3点です。
・実体のない商材をセールスすることができる
・相手のニーズに合わせた提案ができるように、複数の提案ができる
・提案慣れをしている(スキルと言うには微妙ですが…)
金融業界の営業と言わず、どの業界の営業でも身に付けることができます。
この章では、そのスキルで一体何ができるのかを言語化していきます。
実体のない商材をセールスすることができる
実体のない商材をお客様に買ってもらえているということは
非常にレア度の高いスキルだと思ってください。
消費者は消費する財・サービスに対してお金を支払います。
お金を払う条件は、
「支払うお金」と「財・サービス」を比べた際に、
それぞれの価値が同価値であること、
もしくは、
「財・サービス」の価値が高い(「支払うお金」が安い)と感じること、
となります。
消費者としては、「財・サービス」が目に見えるものであれば比較が容易です。
例えば、価格が300万円の車を購入する場合、
展示場に実際に見に行き、試乗をしてみたりする、
または、ディーラーの方に性能を聞いてみたりする、
上記のような行動をすることで
その「財・サービス」の価値を、ある程度自分の中で固めることが出来ます。
一方で、金融商品の場合はどうでしょうか。
例えば、日本の自動車業界の株式を300万円で購入する場合、
消費者は何を頼りに、「財・サービス」の価値を確かめれば良いのでしょうか。
行きつくところは、答えは“神のみぞ知る”です。
セールスマンも投資家も100%投資を成功させた人は居ません。
そんなリスクある商品を買ってもらえている営業マンは
ホントにすごいスキルを持っているのです。
実体のない商材をセールスし、お客様に納得いただいて買ってもらっているということは
営業マンには「実体のないものをわかりやく説明する力」が身についています。
営業マンとしては、「買ってもらうものを詳しく説明するのは当たり前」
そんな風に思うかもしれませんが、それはあなたが優秀である証拠です。
なぜなら、消費者の知識は人によって違うからです。
金融知識の有無や多寡で、自然とセールスの内容を変えているはずです。
つまり、
「相手の反応を常に見ている」かつ「相手に合わせた説明ができる」
これが営業マンにが自然と身に付けてしまうスキルで
どの業界でも重宝される最高のスキルです。
柔軟な提案力
リスクの高い商材をセールスしたが、
相手の反応を見ているとどうも、
相手のニーズと、こちらの提案がマッチしていないな、と感じる場合
少しリスクを下げた商材を
「では、これではどうでしょう」といった形で提案することがあります。
そもそも、なぜいくつも案を用意するかという話ですが、
営業において、お客様とお会いする機会というのは何度もありません。
何度も何度も会えないかと打診し、やっとの思いでセールスする機会を得ることが出来ます。
まだまだ関係性の出来ていない中で、
「話がまとまらなかったので次の機会で」と言ってくれるお客様は少ないです。
ですので、営業マンとしてはその1回チャンスで
「お客様と会えた機会に成約まで持ち込みたい」と考えます。
その際に、こちらが提案できる内容が1つだけだと勝負は一瞬でついてしまいます。
いくつも提案できる案を持っておくことで、営業の効率(成約率)を上げることが出来るのです。
営業職としては当たり前のスキル(むしろ、心構えといっても良い)です。
ですが、あえて私がこのスキルの良さを言語化するとしたら、
相手の反応を事前に予測しているという点も素晴らしいことではありますが、
事前準備を怠らないということよりも、
「顧客折衝において、落としどころを見つけられるスキル」と定義します。
つまり、何かしらの形でクロージングをするということです。
ビジネスを行う以上、対お客様、対上司、など
様々な立場で折衝をしていかなければなりません。
その際に、自分の意見だけを通そうとするというのは無理がありますし、
意見を通したとしても、その後の人間関係に不安が残ります。
自分と相手の意見の落としどころを探し、それを提案することができることは
折衝が多く発生する社会では、非常に有用なスキルといえます。
提案の場数
スキルというよりは経験があるということではありますが、
他人に何かを買ってもらう、もしくは、買ってもらうための提案をしている経験は
営業職以外では難しいです。
この経験が一体何に役に立つのか?という点ですが、
IT業界においてもシステム発注者側へ提案をする場面があります。
具体的には、
「こういうシステムを作れないか?」というざっくりとした注文に対し、
「この部分はシステム化することができます」といった回答をしていく場面が多くあります。
その際に、前節で紹介しているスキルに合わせて、
提案の場数を踏んでいるというのは大いに役に立ちます。
私自身、これまでと同様にシステム発注者側にシステム化のプレゼンをする際に、
説明がわかりやすかったし、言いたいことが伝わってきたよ
と褒めていただけることが多いです。
一方で、新卒からエンジニアですという方のプレゼンは、
提案し慣れていないのか、緊張や説明の過不足を感じ、聞き取りづらさを感じることが多かったです。
提案するというシチュエーションに慣れていると、
説明に力を入れるポイント、資料の見せ方、立ち振る舞いに迷いがでません。
そういう場に慣れる理由ですが、冒頭説明している通り、
営業をしている数が圧倒的だからです。
数にすると10~20回程度ではありません。
1年も営業をしていれば、営業する機会はおそらく100回はあると思います。
他の職種が行う提案と営業職が行う提案の回数の差は、自然と差がつきます。
営業はそれが仕事なので、当たり前なのですが…
これをスキルと言えるのかと思うかもしれません。
もしかしたら、現在のあなたは周りにスーパー営業マンが居て、
自分の営業力が低いのではないかと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
自信を持っていただきたいです。
あなたが身に付けているスキルは非常に貴重なスキルです。
それこそ一歩別の業種に出てしまえばすぐに感じることが出来るはずです。
なぜIT業界で営業のスキルが活きるのか
この章では、前章で紹介した営業職が習得するスキルが
IT業界でも活用できることを解説します。
前章で挙げたスキル営業職で磨かれたスキルのため、
多くのエンジニアはそのスキルを持っていません。
ですので、相対的に希少価値の高いスキルとなり、
プロジェクト内で貴重な人材となることが出来ます。
エンジニアの多くの人に足りていないスキルとは
先ほど営業職が身に付けているスキルとして挙げたスキルは、
ほとんどのエンジニアに足りていません。
ただし、これはエンジニアはコミュニケーションが取れないという意味ではありません。
エンジニア同士であれば、会話は成り立ちますし、
こちらから何かを説明しようとする際には、相手側の理解も早く円滑に会話が出来ます。
同程度の知識を持つ者同士であれば、
コミュニケーションは全く問題なくとることが可能です。
では、なぜエンジニアはスキルが足りないと認識しているのかというと、
それは、「対顧客」へのコミュニケーションにおいて、
説明に過不足(大量の専門用語での説明など)があったり、
立ち振る舞いに迷いがあるように映ったりしているからです。
エンジニア同士の会話ように顧客に対し提案をすることは不可能です。
なぜなら知識量に大きな差があるためです。
そこを理解せずに対顧客へ提案をしてしまうエンジニアが多いので、
相手の知識量に見合った説明が可能で、かつ、
分かりやすく説明し、加えて、提案に慣れている営業職経験者というのは
IT業界で不足している人材といえます。
営業経験者はIT業界でも活躍することができる
特にIT業界に限ったことではありませんが、
営業経験で身に着くスキルは非常に有用で貴重なものです。
目に見えない、指標となるものもないので自覚しづらいスキルですが、
身に付けていればどの業界においても重宝される人材となれます。
営業職から別の業種へ転職を考えた際には
ぜひIT業界も選択肢の一つに入れていただければ幸いです。
他にも営業経験者がIT業界に向いているということを記事にしていますので、
そちらも見ていただけると、自身にもつながるかと思います。
それでは。
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